2014年11月14日金曜日

土佐の森方式 自伐林業のスゝメへ行ってきた

11月1日に白老町で行われた 土佐の森方式 自伐林業のスゝメ へ行ってきました。
講師は土佐の森林救援隊の理事長をしておられる中嶋さん。

個人で持っている山を自分たちで手入れして木を運び出そうというセミナー。



主に使用するのは下記のような機材。

  • ワイヤーロープ(複数本)
  • シャックルや滑車など
  • チルホール(架線を張るため)
  • ウィンチ(集材のため)

ウィンチ以外を全部そろえて大体20万程度は必要とのこと。チルホールが結構高いですね。
あと、写真にある黄色い部品は中島さんが地元の工場で作ってもらったそうです。


セミナーでは下記のようなウィンチを使っていました。


慣れれば準備に30分程度とのことですが、結構大変そうな感じはしました。ただ、個人で山奥から材を引っ張り出すにはいいシステムだとも思います。

土佐の森ではこのシステムで結構稼いでいる個人の林業家がいるとのことですが、北海道の場合は100年ものの檜なんかは無く、50年もののカラマツやトドマツが中心なのでそれほどは稼げないかなと思いました。



GIS DAY in 北海道 2014 へ行ってきた

10月31日に酪農学園大学で行われた GIS DAY in 北海道 2014 へ行ってきました。
林業機械とはちょっと違いますが、GISの利用も広がってきているので情報収集目的での参加でしたが、思った以上に色々できそうで面白かったです。



特に超小型衛星にみるリモートセンシングの未来と題した北海道大学の高橋教授の話は、夢もあり面白かったです。
大学の研究室で衛星打ち上げて、それを運用できるなんてすごい時代だなぁと関心します。

林業に関しては噂に聞いていたスペクトル分析の話を聞いてきました。
これは色々な波長の電波を飛ばして、帰ってくる電波を分析する技術とのこと。物体によりどの電波をどの程度返すか変わるので、それを特定すれば見つけたいものを見つけれる。
この技術を使えば、農業だと特定の病気にかかっている地区を見つけて効果的に農薬を散布出来たり、林業であれば樹木の種類や高さを特定するのに役立ちます。

ただ、一枚(と言うのが正確なのかわかりませんが)の写真撮影と分析でうん十万かかるので、実際の導入にはもう少しコストダウンしないと無理かなと思います。

他にも OpenStreetMap の話は収穫でした。GoogleMapは印刷したらNGなので、林道作成には OpenStreepMap がいいと思います。




2014年10月17日金曜日

2014 森林・林業・環境機械展示実演会へ行ってきた

10月12日と13日に山形県新庄市で開催された、2014 森林・林業・環境機械展示実演会へ行ってきました。

ベースマシンメーカや林業機械メーカが多い中、レンタルメーカも大きなブースを出して林業に力を入れているなぁというのが印象的でした。
機械としてはそれほど珍しいものはなく、今までの製品の最新版だったり改良版だったりでした。


こちらはケスラーの鉄輪型ハーベスタ。


Waratah のハーベスタ。


PONSSE のハーベスタ。

AFMのハーベスタ。


ワンタッチでグラップルとバケツを切り替えられる OilQuick は興味深かったです。油圧ホースとで電源が自動で接続されるので非常に楽だし早いですね。ただその分、本体とアタッチメントに改良を加えないといけないので初期投資がかかりますが。




あと、STIHL のデモは見てて面白かったですね!
日本チャンピオンと世界チャンピオンの対決は見ごたえがありました。



こんな感じで林業も盛り上がってくれるといいですね。

2014年9月29日月曜日

2014 高性能林業機械 実機研修会に行ってきた

9月26日から27日に定山渓国有林内にて行われた高性能林業機械実機研修会に行ってきました。


主催は株式会社イワクラと東日本コベルコ建機株式会社で、その他に出展協力として林業用アタッチメントのイワフジや諸岡、南星、松本システムエンジニアリング、新宮商行、レンタル機器メーカとしてアクティオ、レンタルのニッケンなどが出展していました。


会場は国有林内とのことで、山の麓に車を止めてそこから送迎車で会場へ向かいました。会場は想像してたよりは小さい印象でした。


11時からの実機デモはコベルコの林業仕様機に松本システムエンジニアリングのザウルスロボを取り付けた機器での林道整備と諸岡のキャリアへの積み込み、諸岡の粉砕機のデモがありました。
コベルコの機械は静かですね。ただ、山では音はあまり関係ないかも。。。
そしてザウルスロボの実演は、機械の位置と見学者の位置が非常に悪く、何やっているのかまったくわからない。。。
実際に動いているところを見たくて行ったのですが、あまり見れませんでした。。。

北海道ではあまり見る機会がないものが多かったのはよかったです。来場者も札幌から近いせいか、思っていたよりも多かった印象です。




2014年8月29日金曜日

イワフジ GP-45V と GP-45A

先日 GP-45V を納品してきました。

お客様は GP-45A を使ったことがありましたが「材の送りスピードが断然早い」と、非常に好評でした。早すぎて慣れるまで時間がかかるとも言っていましたが、慣れれば A シリーズより作業スピードは格段に上がると思います。

この V シリーズ、林業現場人 vol.8 によれば熊本県にある泉林業がイワフジ工業へ提案して作られたもの。

A シリーズはヘッド部分が全旋回するタイプですが、V シリーズは A シリーズの全旋回をなくし(270度くらいまでは回る)にしたタイプです。
全旋回をなくすことで部品点数が減り、油圧系統や電気系統が簡素化されたことで故障しにくい機械になっています。
またヘッド部分に到達する油圧が、ローテータ部分で減圧されない(直接ベースマシンから送る)ため、結果として材を送るスピードが速くなっています。

ただし A シリーズの長所が全旋回するだけか?と言うとそうではないです。材の送り作業時に制動が取りやすい(止めたいところですぐ止まる)、枝払い能力が高い(と言う人が多い)などがあります。

そのため、一人のオペレータが固定して使うなら送り能力と耐久性重視の V シリーズ、複数の人が入れ替わり使用するなら使いやすさ重視の A シリーズがいいのかなと思います。


2014年8月26日火曜日

林業作業道の幅員についてのメモ

北海道と本州では伐採等で使用する重機の大きさが違い、その理由は傾斜による林業作業道の幅員にある。
森林作業道作設ガイドライン(案)によれば林道作業道は傾斜によって下記のような幅員を推奨しているのでメモしておく。

傾斜25°以下
 比較的傾斜が緩やかであるため、切土、盛土の移動土量を抑え、土構造を基本として作設することが可能である。
 6~8トンクラスの機械(バケット容量0.2m3~0.25m3クラス)及び9~13トンクラスの機械(バケット容量0.45m3クラス)をベースマシンとした作業システムの場合は、幅員3.0mとする。

傾斜25~35°
 中~急傾斜地であるため、切土、盛土による移動土量がやや大きくなる。
① 6~8トンクラスの機械(バケット容量0.2m3~0.25m3クラス)をベースマシンとした作業システムの場合は、幅員3.0mとする。
② 3~4トンクラスの機械(バケット容量0.2m3クラス以下)をベースマシンとした作業システム及び2トン積トラックが走行する場合は、幅員2.5mとする。 

傾斜35°以上
 急傾斜地であるため、丸太組等の構造物を計画しないと作設が困難である。
 なお、森林作業道の作設を選択する場合には、3~4トンクラス(バケット容量0.2m3クラス以下)をベースマシンとした作業システム及び2トン積みトラックの走行に限られるものと想定され、幅員2.5mとする。 

北海道では緩傾斜が多いため幅員が3mの場合が多いためバケット容量0.45立方メートルクラスのベースマシンが多く、それ以外の地域ではそれよりも小さいサイズのベースマシンが多くなる。


2014年8月21日木曜日

チルホール

倉庫を掃除していたら、チルホールが出てきました。



手動の小型ウィンチで、写真のタイプで1600kgまで引っ張ることができます。
今でも現役で活躍する道具で、普通に買うと10万円前後します。

林業の現場でもよく使われていたらしいです。
ですが、最近は機械化が進んだり路網の整備が進んだりしたせいで、利用する人は少なくなりました。

2014年7月28日月曜日

国有林モニター会議に出てみた

平成26年度北海道森林管理局国有林モニターになれたので、会議に出席してみました。
http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/square/kakutidayori/2014/140726.html



出席者は全部で30人ぐらいで、13時半から16時まで。
前半は北海道森林管理局や現在の取り組みの説明、北海道国有林のおいたちなどの話がありました。そのあとはモニターからの意見要望に対する回答。

前半の説明は表面的な内容で、それほど掘り下げた話は出なかったです。北海道国有林の歴史はまったく知る機会がなかったのでなかなか面白かったです。

で、モニターからの意見とか要望が100分。。。人数が多いので実際にこれぐらいかかるし、いきなり「それでは国有林に対しての要望をお願いします!」と言われるものだから話が多岐にわたるので何がなにやら。。。
話が多岐にわたったせいで、普段は意識しない話が聞けたというのもありますが、もう少し突っ込んだ話を聞きたかったなぁというのが感想でした。

2014年6月10日火曜日

ハスクバーナ チェーンソー作業マニュアル パート1

ハスクバーナが出しているチェーンソー作業マニュアル パート1 を読んでみました。



チェーンソーを扱ううえでの基本的なことが書いてある本です。
必要な安全防具や、チェーンソーの始動という初歩の初歩から、伐倒技術、かかり木の処理、枝払いなどある程度木を切ったことがある人でも読んでいてためになると思います。
イラストが多めなのもいいですね。

ただ、日本語訳が少しおかしいのと、1500円と言うのはちょっとお高いかも。。
上級者向けのパート2もありますが、そちらも1500円なので買うかどうかは悩みますが。

2014年5月28日水曜日

林業機械の危険防止設備

平成25年の労働安全衛生規則改正にともない、林業機械への危険防止設備の装備が義務付けられました。平成26年12月1日施工なので、それまでに林業機械保有者は対応する必要があります。

主な対象機械は車両系木材伐出機械となります。

  • 伐出機械(フェラーバンチャ、ハーベスタ、プロセッサ、木材グラップルなど)
  • 走行集材機械(フォワーダ、スキッダなど)
  • 架線集材機械(タワーヤーダ、スイングヤーダ、集材ウィンチ機など)

これらの機械について下記のような設備を平成26年12月1日までに装備する必要があります。

1.前照灯
ライトです。

2.ヘッドガード
原木等の落下から運転者を守るために設置します。ただし、原木等を運転位置より高く持ち上げない場合は接地の義務がないそうです。またROPS構造を備えている場合は設置義務はないそうです。

3.防護柵
原木の飛来等から運転者を守るために設置します。設置方法としては防護柵を取り付ける、運転席の窓ガラスをポリカーボネートにする、窓ガラスに保護フィルムを張る、などが挙げられています。

これらの設備について装備する場合、条件を満たせば補助金を利用することができます。
ざっくりした条件としては


  • 2014年5月末までにすでに導入済みの機械で、危険防止設備がないもの


となります。
すでにヘッドガード等が装備されている林業機械は対象外となります。また6月以降に導入される機械も補助対象外となります。

補助金は取り付け費用の半分までで、前照灯は上限5万円、ヘッドガードは上限10万円、防護柵は上限15万円となっています。

申請方法および詳細については各地域の助成事業窓口で確認できます。
以下は一部地域の窓口です。








2014年5月23日金曜日

安全衛生特別教育について

平成25年に労働安全衛生規則が改定され林業の現場で使用する機械について、使用する場合には特別教育が必要となりました。

関連文章

ものすごく乱暴に要約すると、山で使用する機械(木を切る機械、集材する機械、架線などで集材する機械)を操縦するには特別教育を受けないとダメです、と言うもの。

これは平成26年12月1日から施工となるので、平成26年12月1日以降、この特別教育を受講していないと山でプロセッサやハーベスタ、フォワーダやタワーヤーダを操縦できないことになります。

では、どこでその特別教育を受けれるかと言うと北海道の場合は以下のような団体が開催する講習会で受講することができます。他の地域でも機械化林業協会や林災防の各支部が開催していると思います。


講義は林業機械化協会が作成したテキストを使用します。
講義内容は法令の確認や現場での注意事項なので、特に面白いことはないです。受講後に運転免許所サイズの受講証がもらえます。作業時にはこれを携帯する義務があります。

なお、林業事業体が受講する場合には補助金がでます。補助金については北海道森林整備担い手支援センターから申請します。



こちらは林業事業体だけでなので、メーカーや整備工場は対象外です。特別講習自体はメーカーや整備工場も受講義務があるんですけどね。











WOOD JOB を見てきた

WOOD JOB を見てきたので感想を。

まず率直な感想として、映画として見そていて面白かったです!
笑いあり、感動ありで2時間見ていてまったく飽きませんでした。


林業抜きにしても知り合いにお勧めできます。

では、肝心の林業のほうはどうかと言えば、こちらも予想以上にしっかりと作られている感じがしました。
映画なので多少誇張している部分はありますが、初めて木が倒れる現場を見たときの感動とか森の良さが伝わってきました。銘木市のやり取りもいいですね。

ただ、やはり本州の林業だなと感じる部分もありました。この映画を見て北海道の林業へ入るとちょっと違和感があるかも。木の種類がそもそも違いますし、映画のモデルになった三重県のように先祖代々受け継いでいる山と言うのもまだ少ないですし。

細かいところは抜きにしても、林業とはどういうものか、どんな仕事をしているのか、などのイメージはわきやすいと思います。

ちなみにチェーンソーは STIHL でした。劇場で売ってた チェンソーキーホルダー、ちょっと欲しいとかおもったり。

2014年4月23日水曜日

国土地理院の3DデータからDMMの3Dプリントサービスを利用してみた

3月に国土地理院から日本の3Dデータが公開されたので、さっそくそれを使って3Dプリントしてみました。

地理院地図3D

まず地理院地図3Dの右側にある「3次元でみる」と書かれたボタンをクリックして地図情報を表示させます。



ボタンを押すと地図が表示され、マウスを使用してぐりぐり動かしたり拡大縮小できます。ここで、3Dプリントしたい地図を表示させます。なお、四辺の長さはこれで固定されていて、変更することはできないようです。


印刷する場所を決めたら「この地図を3Dで表示」ボタンをクリック。



3Dの地図情報が表示されます。ここで「3Dデータを・・・」と言うボタンを押すとデータのダウンロード選択画面に切り替わります。この時に左下あたりにある「高さ方向の倍率」で高さの倍率を変更することが可能です。凹凸が少ない地形では非常にありがたい機能ですね。

そして画面中央下あたりに「3Dデータをダウンロードする」ボタンを押すと、画面が一度切り替わり、下方部分に3種類のダウンロード形式が表示されます。


3種類表示された中で、今回はDMMの割引キャンペーンを利用して石膏フルカラー出力を行うため VRMLファイルを使用します。
ファイルをダウンロードするとき、ブラウザによってはうまくダウンロード出来ない場合があるようなので、失敗したときは別なブラウザで試してみるとうまくいきます。

ファイルは zip 圧縮されています。これを一度解凍して中身を確認します。なぜかと言うと、国土地理院からダウンロードしたファイルには DMM 3D プリントサービスで使用できないファイルが含まれていて、これも一緒にアップロードするとチェックで引っ掛かるためです。

国土地理院からダウンロードした zip ファイルには以下のものが含まれています。


  • about_pgwfile.txt
  • dem.wrl
  • texture.pgw
  • texture.png
この中で 3D プリントサービスで使用できるファイルは .wrl ファイルと .png ファイルとなっているので、それ以外を削除して再度 zip 圧縮します。



あとは、DMM 3D プリントサービスへログインしてファイルをアップロードします。アップロードするときに下記のような選択画面が出ますが、今回はミニュチュアを選択しました。



アップロードすると自動でファイルのチェックがあるようで、その時に不備があれば「データ不備のご連絡」と言うメールがきます。内容に沿ってファイルを修正して再アップロードすれば大丈夫です。問題なければ「モデルアップロードが完了しました」と言うメールが来ます。

その後しばらく待っていると「データチェックが完了しました」と言うメールとともに価格表が送られてきます。この時は半日もかからず完了メールがきました。
アップロードしたファイルの内容はログイン後の「マイ3Dデータ」で確認できます。あとは、「注文に進む」から素材を選択して注文を進めます。今回は半額キャンペーンをやっていた石膏ボードを選択し、支払いはコンビニ振り込みのDMMマネーを使ってみました。

今回は半額キャンペーンとのことで2週間以上待たされましたが、通常は7日から9日程度だそうです。

で、出来上がったモノがこちら。


うーん、小さい。。そして、記載されている文字が見えづらい!!かろうじて読めるものもあるけど、にじんでいたりつぶれていたりで見えない。

石膏ボードで地図を印刷する場合は文字を拡大するとかしたほうがいいですね。ただ、色を付けないで地形だけならいいと思います。あとは複数個組み合わせれば大きい立体地図も作れますね。








2014年3月25日火曜日

道具と技 Vol.8

道具と技 Vol.8 重機の現場テクニックを読んでみました。



Vol.8 では高性能林業機械の使い方や現場での工夫、気を付けている部分など6事例を挙げています。
各事例は施業地のパノラマ図を使用した集造材の作業システムの全体像から始まり、使用している高性能林業機械やどういった付加機能(ロングリーチだったり、自作のガードや計測用の物差しだったり)の紹介があり、後半はオペレータの育成についてや作業をスムーズに進めるための工夫などが書かれています。

オペレータの育成ひとつとっても、「チェーンソーでの伐倒は一番危険だからまずは重機で覚えさせる」という人と「まずはチェーンソーで伐倒の経験を積まないと機械には乗れない」という人がいたりと、考え方がこうも違うのかと驚きました。

ほかにも現場での工夫は、一つ一つは小さなことですが、色々と仕事の参考になりそうなものが多くて購入して良かったと思います。
一つ残念な点としては全国各地の現場を紹介していますが、北海道の事例がないのは少し残念でした。

2014年3月11日火曜日

林業機械化推進シンポジウム in 札幌へ行ってきた

3月10日に開催された林業機械化推進シンポジウム in 札幌へ行ってきました。
林業機械化推進シンポジウムのチラシ

このシンポジウムは先進的林業機械緊急実証・普及事業によって行われた事業の報告会という位置づけのようでした。



前半は自然産業研究所の方や林野庁、森林総合研究所の方から現在の先進的林業機械に関する基調講演でした。内容としては先進的林業機械緊急実証・普及事業で行われた事例の全体的な紹介や現在の木材の利用状況や補助などの説明などでした。
下川町の現地検討会で聞いていた内容が多く新しい情報は少なかったと思います。

後半は各事業体への導入事例で4つの事例発表がありました。

下川町森林組合の事例はこちらに記載している内容のため省略。

有限会社橋元林業の事例ではハーベスタ付き8輪駆動林内作業車によるワンマンオペレータ作業システムが紹介されました。
使用した機械は松本システムエンジニアリングが開発した伐倒から集材まで可能な、かつ林内走行も可能な作業車でした。ほかにもウィンチがついたりアーティクレート方式(車体が真ん中で折れ曲がる)だったりとインパクトは今回の発表の中で一番大きかったと思います。
ただ残念なことに一部開発が追い付いてない部分があり、今後も気になるところではありました。

山口県東部森林組合では荷台が拡張・収縮するタイプのフォワーダが紹介されました。これは林地残材を圧縮して効率よく搬出するために考案したものだそうです。

門脇木材では改良型粉砕機が紹介されました。これはトラックの荷台に直接チップを搭載できるようにコンベア部分を伸ばしたものです。

ここで面白かったのが、山口健東部森林組合さんと門脇木材さんが「一緒に検証したらもっと効率あがるかも?」とお互いに情報交換していたところでしょうか。ちょうど川上から土場までの検証と土場から川下への検証がいい具合にマッチしている感じでした。

せっかくのシンポジウムですし、こういった相乗効果が期待できるマッチングが今後ともできるといいと思います。


2014年3月2日日曜日

平成25年度 林業普及指導事業報告会に行ってきた

平成25年度林業普及指導事業報告会に行ってきました。
ほかの予定があったため後半部分は参加できませんでしたが前半部分だけでもメモとして残しておきます。



印象として残ったのは将来木施業や天然更新などの単語で、植林や造林の話が多かったように思います。去年からバイオマス発電での需要増で伐採が進んでいるのも関係するかもしれませんが、造材に比べると造林は少ないようです(下記の画像は確か十勝の資料だったような。。。)


解決策としては伐採業者と山林保有者への働きかけということでした。山林保有者は後継者問題や後継者がいても山林を破棄してしまうケースなどがあり、植栽へ向けて説得を試みるというようなニュアンスでした。伐採業者へは情報交換しつつ植栽へ向けての啓発や各種制度の周知というのがありました。



質疑応答の中で「伐採業者が高性能林業機械で木をばっさり持っていき、林道含め山がめちゃくちゃになる」というのは気になりました。木で生計を立てているのに、本当にそういった事実があるなら是正しないと自分たちの食い扶持がなくなりますしね。

鶴居村の森プロも気になりましたね。いつか見学してみたいものです。

それにしても背広の人が多かったなという印象。実際の現場の人へ届ける工夫が必要なんじゃないかなとも思いましたが、意外と背広で参加しているかな?


2014年2月12日水曜日

LOKOMO MAKERI 34T

古いカタログが出てきたので電子化がてらアップしてみます。

フィンランド LOKOMO 社のハーベスタ MAKERI 34T です。
これはたぶん1990年前後のカタログだと思いますが、このころから鉄輪式のハーベスタを使っていたんですね。




「先進的林業機械を活用した作業システム現地検討会」に行ってきた

前回に引き続き、2月4日に北海道下川町で開催された「先進的林業機械を活用した作業システム現地検討会」に行ってきたのでメモを残しておきます。

今回は基調講演とデモンストレーションの説明が前半に行われて、後半に現地デモンストレーションという流れでした。

基調講演では京都大学フィールド科学教育センターの長谷川准教授が「林業におけるイノベーションの意義と方向性」として林業全体の話をされました。林業機械自体の話は少なかったですが、林業全体をとらえた興味深い話が色々聞けました。

講演の中でいくつか印象に残ったトピックを列挙します。

日本とスェーデンの伐出作業の労働生産性について
まずスェーデンのデータとして引用されていたのがこちら。


それに対して日本の資料がこちら(21年度森林林業白書より)


前提となる条件や統計の取り方が違うので単純比較はできないだろうけど、2000年を見てもスェーデンは20立方メートル/人日なのに対して日本は主伐でも4立方メートル/人日に達していない点には驚いた。ただ、会場からは日本の生産性がもっと高いことを示すデータもあるという指摘もあったので、実際にはここまでの開きはないのかもしれない。

次になぜ現状のような悪循環になってしまったかという点について、50年前とは違う経済や社会的要因、環境変化などを解説して、そのうえでイノベーションの方向性として考慮すべきことやイノベーションを進めるうえでの障害を解説。

自分の仕事と絡むという点では、技術の迷走というのが気になりました。指摘されると確かに欧米のスタイルをまねているだけで日本固有の地理的条件(傾斜がきつい、林道の違いなど)や流通的な条件(全幹で出すか短幹なのか)などがあまり考慮されていないようにも思います。

そのうえで労働生産性を高くし作業コストを低くするというのが一つの方向性ではないかという見解を示していました。その一つの基準は10立方メートル/人日とのこと。資源という観点から伐採しすぎてもいけないので、この程度で抑えておきあとはコストを抑える方向がいいのではという話です。

そのほかにも過疎化地域での雇用確保の視点やエネルギー資源としての役割、森林管理のパラダイムシフトなど色々興味深かったです。

基調講演の後は現地デモンストレーションの概要説明ということで、IHI フォワーダ F801 とコマツハーベスタ 350.1 の改良点についてそれぞれメーカより解説がありました。

IHI フォワーダ F801 は荷台に KESLA 50E をクラムバンクとして装着し、全幹での輸送を可能にしたとのこと。またウィンチもワイヤーロープと繊維ロープを使用し作業効率を検証するとのことでした。



コマツハーベスタ 350.1 は材の曲がり具合を確認するためのカメラおよびマーカーを装着したものでした。これ自体は以前からあったような気がするので今回の事業用に作ったのかは不明です。








2014年1月27日月曜日

高性能林業機械とは

林業に使用する機械と言ってもたくさんありますが、このブログで扱うのは主に高性能林業機械となります。そこで高性能林業機械について簡単に説明します。

高性能林業機械とは

林野庁の解説では

 高性能林業機械とは従来のチェーンソーや刈払機等の機械に比べて、作業の効率化、身体への負担の軽減等、性能が著しく高い林業機械です。 
  20年ほど前から開発・普及が進められており、平成21年度には約4,200台が林業の現場で使用されています。 
  主な高性能林業機械として、フェラーバンチャ、スキッダ、プロセッサ、ハーベスタ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがあります。
とあります。
チェーンソーで木を切り倒し、ワイヤーロープを使って小型ブルドーザで土場まで引っ張り出し、土場で玉切りして輸送用のトラックに積み込んでいた従来の作業を効率的かつ安全性を高めて行うための機械のことになります。
ちなみに、丸太をつかんだりするためのグラップルは従来型林業機械に分類されているようです。

日本で初めて高性能林業機械が導入されたのは1982年北海道の遠藤林業でした。その後、日本で広く認知されたのは1988年9月にカナダで開催された世界林業機械展に北海道内の林業関係者からなる視察団が参加したことがきっかけだそうです。




高性能林業機械の種類

林野庁の解説にもあるように主な高性能林業機械としてはフェラーバンチャ、スキッダ、プロセッサ、ハーベスタ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがあります。
なお、プロセッサ、ハーベスタの場合は油圧ショベルのアタッチメントだけ製造している場合と、ベースマシンも含めて専用機を製造している場合があります。

高性能林業機械の説明は色々ありますが、下記がわかりやすいと思います。
イワフジ工業株式会社高性能林業機械について

大雑把に記載すると下記のようになります。


  • フェラーバンチャ
    • 立木を伐採(フェリング)し、切った木をそのまま掴んで集材に便利な場所へ集積(バンチング)する自走式機械。天然林択伐に向いているといわれている。ただし、他の機械に比べると稼働率は低めとのデータもある。
  • スキッダ
    • 複数の材を牽引して土場に運び出す機械。林業用トラクタの総称であるが一般的にはグラップルを装備したものを指すことが多い。従来はワイヤーロープで束ねてから引っ張っていたが、その束ねる作業を省くことができる。洞爺丸台風の風倒木処理に大量に導入されたのが普及のきっかけとも言われている。
  • プロセッサ
    • 造材機とも言われ林道や土場で集材された材の枝払い玉切りを行う機械。国高性能林業機械の中では最も保有率が高くなっている。
  • ハーベスタ
    • 伐倒造材機とも言われ伐倒、枝払い、玉切り、および集材しやすいように玉切りした材の集積を一貫して行う機械。日本の山間部は急傾斜地がおおく大型機械の導入が困難なことが多い。そのためプロセッサに比べると国内保有台数は少ない。
  • フォワーダ
    • 林内に集積された短幹材を林道端の土場まで積載集材する車両系機械の総称。主にグラップルローダを装着したもので2トン以上の積載量を持つものを指す。従来のワイヤーロープによるけん引に比べ材が泥などで汚れず破損も少ない。
  • タワーヤーダ、スイングヤーダ
    • 架線の架設撤去が手軽にできる人工支柱を装備し,自走またはけん引することのできる集材機。フォワーダなどが入れない急傾斜地での集材に向いている。タワーヤーダはトレーラをベースマシンとして集材用のウインチを搭載しており、スイングヤーダは油圧ショベルをベースマシンとしている。


高性能林業機械を扱うメーカ

高性能林業機械を扱う主なメーカを紹介します。

国内



海外



参考文献

林業を支える高性能林業機械(林野庁)
林業機械について(林業機械化協会)
高性能林業機械(森林利用学会)
高性能林業機械化の推移と展望に関する研究(北海道大学尾張,、敏章、2001年)
高性能林業機械化の推移と展望に関する研究(東京大学尾張、2000年)




2014年1月24日金曜日

「先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発」に行ってきた

2014年1月10日に北海道下川町で開催された「先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発」に行ってきました。

プログラムとしては、前半が高性能林業機械を使ったデモで後半が森林総合研究所からの講演でした。

まずはデモ。
デモ会場は講演会場となる下川町総合福祉センター から車で15分くらい離れた森の中。デモは2種類あり KETO のハーベスタとイワフジの U-6BG の組み合わせと、PONSE のハーベスタおよびキャリアの組み合わせでした。

イワフジ U-6BG


PONSSE Beaver


PONSSE Gazelle


KETO とイワフジの組み合わせは北海道でもよくある組み合わせで、人力で行うより当然早いよねという感想。

それに比べると PONSE は機械が大きいしハーベスタ「Beaver」はアーム部分が10mまで伸びるので、作業範囲は広いし余計な移動がなく作業が早い印象は受けました。ただし、この時のオペレータはフィンランドから来日した PONSE のトレーナーだったので、余計に上手に見えたのもあると思います。

正直な感想としては PONSE の方が作業効率は高そうでした。ただ、本体価格が国産のものより2倍以上する(という噂話をしていた)、修理や部品交換ができる業者がいないなどを考えると、まだしばらく国内で導入する業者はいないように思えます。

後半は下川町総合福祉センターへ移動して森林総合研究所からの講演。
佐々木氏の講演では森林経営のコストの話から機械化伐採システムの構築、伐採システムの分類やドイツとの比較、作業システムと生産性の話など多岐にわたりました。



気になったのは生産性と生産費の部分。3-4人でチェーンソーを使用した場合1日7-32立方メートル/人日、これが2人でハーベスタとフォワーダを使用した場合は30-60立方メートル/人日と目に見えて増える。これが、生産費になると前者が2400-5300yen/立方メートル、後者が2600-3800yen/立方メートルとなっていた。
(この話自体は林野庁の林業の再生に向けた生産性向上の取組に記載があった)

生産費の前提となる数式がわからないですが、PONSE の機械価格が国産のものより2倍以上となれば国産をもう一セット買ったほうが生産性も生産費も安くなるような気がしますね。

二つ目の講演は中澤氏による実証実験の概要説明でした。

そのあとの質問でも、バイオマス対応フォワーダとか、北海道では冬季の主伐後すぐに植栽できないから本州とは違うシステムが必要とか、日本と北欧の木材流通システムの違いとかいろいろ話が聞けて勉強になりました。

下川町は森林総合産業特区に認定されており、今後もこの事業は続くらしいので機械があればまた見学したいと思います。

2014年1月18日土曜日

林業カレンダー

林業に関するイベントや講習会のカレンダーを作ってみました。
把握している範囲でアップデートしていますので、もし「このイベントが記載されていないよー」というものがあればご連絡ください。
ただし林業に関係あるないについては私の判断となりますのでご了承ください。

林業カレンダー