2014年2月12日水曜日

「先進的林業機械を活用した作業システム現地検討会」に行ってきた

前回に引き続き、2月4日に北海道下川町で開催された「先進的林業機械を活用した作業システム現地検討会」に行ってきたのでメモを残しておきます。

今回は基調講演とデモンストレーションの説明が前半に行われて、後半に現地デモンストレーションという流れでした。

基調講演では京都大学フィールド科学教育センターの長谷川准教授が「林業におけるイノベーションの意義と方向性」として林業全体の話をされました。林業機械自体の話は少なかったですが、林業全体をとらえた興味深い話が色々聞けました。

講演の中でいくつか印象に残ったトピックを列挙します。

日本とスェーデンの伐出作業の労働生産性について
まずスェーデンのデータとして引用されていたのがこちら。


それに対して日本の資料がこちら(21年度森林林業白書より)


前提となる条件や統計の取り方が違うので単純比較はできないだろうけど、2000年を見てもスェーデンは20立方メートル/人日なのに対して日本は主伐でも4立方メートル/人日に達していない点には驚いた。ただ、会場からは日本の生産性がもっと高いことを示すデータもあるという指摘もあったので、実際にはここまでの開きはないのかもしれない。

次になぜ現状のような悪循環になってしまったかという点について、50年前とは違う経済や社会的要因、環境変化などを解説して、そのうえでイノベーションの方向性として考慮すべきことやイノベーションを進めるうえでの障害を解説。

自分の仕事と絡むという点では、技術の迷走というのが気になりました。指摘されると確かに欧米のスタイルをまねているだけで日本固有の地理的条件(傾斜がきつい、林道の違いなど)や流通的な条件(全幹で出すか短幹なのか)などがあまり考慮されていないようにも思います。

そのうえで労働生産性を高くし作業コストを低くするというのが一つの方向性ではないかという見解を示していました。その一つの基準は10立方メートル/人日とのこと。資源という観点から伐採しすぎてもいけないので、この程度で抑えておきあとはコストを抑える方向がいいのではという話です。

そのほかにも過疎化地域での雇用確保の視点やエネルギー資源としての役割、森林管理のパラダイムシフトなど色々興味深かったです。

基調講演の後は現地デモンストレーションの概要説明ということで、IHI フォワーダ F801 とコマツハーベスタ 350.1 の改良点についてそれぞれメーカより解説がありました。

IHI フォワーダ F801 は荷台に KESLA 50E をクラムバンクとして装着し、全幹での輸送を可能にしたとのこと。またウィンチもワイヤーロープと繊維ロープを使用し作業効率を検証するとのことでした。



コマツハーベスタ 350.1 は材の曲がり具合を確認するためのカメラおよびマーカーを装着したものでした。これ自体は以前からあったような気がするので今回の事業用に作ったのかは不明です。








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