2014年1月27日月曜日

高性能林業機械とは

林業に使用する機械と言ってもたくさんありますが、このブログで扱うのは主に高性能林業機械となります。そこで高性能林業機械について簡単に説明します。

高性能林業機械とは

林野庁の解説では

 高性能林業機械とは従来のチェーンソーや刈払機等の機械に比べて、作業の効率化、身体への負担の軽減等、性能が著しく高い林業機械です。 
  20年ほど前から開発・普及が進められており、平成21年度には約4,200台が林業の現場で使用されています。 
  主な高性能林業機械として、フェラーバンチャ、スキッダ、プロセッサ、ハーベスタ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがあります。
とあります。
チェーンソーで木を切り倒し、ワイヤーロープを使って小型ブルドーザで土場まで引っ張り出し、土場で玉切りして輸送用のトラックに積み込んでいた従来の作業を効率的かつ安全性を高めて行うための機械のことになります。
ちなみに、丸太をつかんだりするためのグラップルは従来型林業機械に分類されているようです。

日本で初めて高性能林業機械が導入されたのは1982年北海道の遠藤林業でした。その後、日本で広く認知されたのは1988年9月にカナダで開催された世界林業機械展に北海道内の林業関係者からなる視察団が参加したことがきっかけだそうです。




高性能林業機械の種類

林野庁の解説にもあるように主な高性能林業機械としてはフェラーバンチャ、スキッダ、プロセッサ、ハーベスタ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがあります。
なお、プロセッサ、ハーベスタの場合は油圧ショベルのアタッチメントだけ製造している場合と、ベースマシンも含めて専用機を製造している場合があります。

高性能林業機械の説明は色々ありますが、下記がわかりやすいと思います。
イワフジ工業株式会社高性能林業機械について

大雑把に記載すると下記のようになります。


  • フェラーバンチャ
    • 立木を伐採(フェリング)し、切った木をそのまま掴んで集材に便利な場所へ集積(バンチング)する自走式機械。天然林択伐に向いているといわれている。ただし、他の機械に比べると稼働率は低めとのデータもある。
  • スキッダ
    • 複数の材を牽引して土場に運び出す機械。林業用トラクタの総称であるが一般的にはグラップルを装備したものを指すことが多い。従来はワイヤーロープで束ねてから引っ張っていたが、その束ねる作業を省くことができる。洞爺丸台風の風倒木処理に大量に導入されたのが普及のきっかけとも言われている。
  • プロセッサ
    • 造材機とも言われ林道や土場で集材された材の枝払い玉切りを行う機械。国高性能林業機械の中では最も保有率が高くなっている。
  • ハーベスタ
    • 伐倒造材機とも言われ伐倒、枝払い、玉切り、および集材しやすいように玉切りした材の集積を一貫して行う機械。日本の山間部は急傾斜地がおおく大型機械の導入が困難なことが多い。そのためプロセッサに比べると国内保有台数は少ない。
  • フォワーダ
    • 林内に集積された短幹材を林道端の土場まで積載集材する車両系機械の総称。主にグラップルローダを装着したもので2トン以上の積載量を持つものを指す。従来のワイヤーロープによるけん引に比べ材が泥などで汚れず破損も少ない。
  • タワーヤーダ、スイングヤーダ
    • 架線の架設撤去が手軽にできる人工支柱を装備し,自走またはけん引することのできる集材機。フォワーダなどが入れない急傾斜地での集材に向いている。タワーヤーダはトレーラをベースマシンとして集材用のウインチを搭載しており、スイングヤーダは油圧ショベルをベースマシンとしている。


高性能林業機械を扱うメーカ

高性能林業機械を扱う主なメーカを紹介します。

国内



海外



参考文献

林業を支える高性能林業機械(林野庁)
林業機械について(林業機械化協会)
高性能林業機械(森林利用学会)
高性能林業機械化の推移と展望に関する研究(北海道大学尾張,、敏章、2001年)
高性能林業機械化の推移と展望に関する研究(東京大学尾張、2000年)




2014年1月24日金曜日

「先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発」に行ってきた

2014年1月10日に北海道下川町で開催された「先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発」に行ってきました。

プログラムとしては、前半が高性能林業機械を使ったデモで後半が森林総合研究所からの講演でした。

まずはデモ。
デモ会場は講演会場となる下川町総合福祉センター から車で15分くらい離れた森の中。デモは2種類あり KETO のハーベスタとイワフジの U-6BG の組み合わせと、PONSE のハーベスタおよびキャリアの組み合わせでした。

イワフジ U-6BG


PONSSE Beaver


PONSSE Gazelle


KETO とイワフジの組み合わせは北海道でもよくある組み合わせで、人力で行うより当然早いよねという感想。

それに比べると PONSE は機械が大きいしハーベスタ「Beaver」はアーム部分が10mまで伸びるので、作業範囲は広いし余計な移動がなく作業が早い印象は受けました。ただし、この時のオペレータはフィンランドから来日した PONSE のトレーナーだったので、余計に上手に見えたのもあると思います。

正直な感想としては PONSE の方が作業効率は高そうでした。ただ、本体価格が国産のものより2倍以上する(という噂話をしていた)、修理や部品交換ができる業者がいないなどを考えると、まだしばらく国内で導入する業者はいないように思えます。

後半は下川町総合福祉センターへ移動して森林総合研究所からの講演。
佐々木氏の講演では森林経営のコストの話から機械化伐採システムの構築、伐採システムの分類やドイツとの比較、作業システムと生産性の話など多岐にわたりました。



気になったのは生産性と生産費の部分。3-4人でチェーンソーを使用した場合1日7-32立方メートル/人日、これが2人でハーベスタとフォワーダを使用した場合は30-60立方メートル/人日と目に見えて増える。これが、生産費になると前者が2400-5300yen/立方メートル、後者が2600-3800yen/立方メートルとなっていた。
(この話自体は林野庁の林業の再生に向けた生産性向上の取組に記載があった)

生産費の前提となる数式がわからないですが、PONSE の機械価格が国産のものより2倍以上となれば国産をもう一セット買ったほうが生産性も生産費も安くなるような気がしますね。

二つ目の講演は中澤氏による実証実験の概要説明でした。

そのあとの質問でも、バイオマス対応フォワーダとか、北海道では冬季の主伐後すぐに植栽できないから本州とは違うシステムが必要とか、日本と北欧の木材流通システムの違いとかいろいろ話が聞けて勉強になりました。

下川町は森林総合産業特区に認定されており、今後もこの事業は続くらしいので機械があればまた見学したいと思います。

2014年1月18日土曜日

林業カレンダー

林業に関するイベントや講習会のカレンダーを作ってみました。
把握している範囲でアップデートしていますので、もし「このイベントが記載されていないよー」というものがあればご連絡ください。
ただし林業に関係あるないについては私の判断となりますのでご了承ください。

林業カレンダー